三十六計逃げるに如かず、や!

「あー、引継ぎも無事終わったし、もうやる事もないし!ほな隊長、お先に失礼します!」
「嶋」
「俺今日どーしても外せない用事があるんでこれで!」

 大嘘やけど。

「……」
「あの、隊長。そこに立たれたら俺帰れんのですけど……」
「……」
「そう、です、か……」

 「逃がす気はない」と言う事か。
 敵も本気やな。

「ほな……窓から出るまでや!」

 基地の床を蹴ると身体を反転させて、窓に向かう。

「逃がさん」
「おわあっなんで前から来てんねんこん人!」
「逃がさんと言ったろう」

 どんな身体能力やねん。
 つーか人間業とちゃう。
 せやけどこっちもはいそうですかって聞ける類の事と聞けん類の事があんねや!

「絶対逃げたる!」

***

「はぁっ、はぁっ……や、やっと着いた、俺の部屋……」

 あの後隊長を撒きながら全速力で走ったから、もう限界や。
 暫く後ろにつけていた隊長も途中からおらんようなったし、諦めたかな……
 ……あー、漸く息がつけ……

「お帰り」
「ギャー!?」
「遅かったな」
「なななななんでっ!」
「どうせ家に帰るんだろうと思ったし、俺は合鍵を持ってる」

 ……せやった……!

「お前は何故か遠回りしているようだったから、俺の方が先に着いた」
「わあ、そうなんやー。意味ないやんけ俺!」

 セルフツッコミ。

「さて」

 ぎ  く  り。

「協力してもらおうか、嶋本」

***

 何処へ逃げても先回りされ、疲れた所を押し倒される。
 逃げただけ体力の無駄、相手はハブドームで攻撃力2倍。
 いつもより疲労困憊で朝を迎える。

 ご利用は計画的に。

もう一度やり直してみる

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SugakoSatoh@√310