泣いて泣いて泣きやんだら
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プライドを守り抜くあなたの姿 あぁ きれい 「それでいい」
そう言われた嶋本は、一層傷付いた顔をして、真田の前から走り去った。 ***
エンジンの振動が微かに足元から伝わってくる。 「シマ」
ぴくりと跳ねた肩は、心なしか普段より小さく見える。
「シマ」
高嶺が肩に手を置くと、やっと伏せていた顔を向けてくれた。 ――ああそう言えば、あの時もこうやって、私は嶋本の肩に手を置いていた。 「……高嶺……」 うん、と相槌を打つ。
「怒っている訳ではないんだよね」 だって、と嶋本は眉を寄せたまま続けた。
「だって、隊長が助かったんは事実や」 『――我々は、出動しない』
船の中にまだ真田がいる、と聞いた瞬間の彼の表情が重なる。 ――あの時、彼がどんな思いでその判断をしたのか、きっと知っているのは私だけなんだろう。 「……隊長入院してる間に、基地に報告の電話入れたんや。……「よかったな」て言うてくれた。……「お疲れ様」とか、「よくやった」とか……せやけど」 一瞬ぎゅ、と唇を噛み締めて、自嘲に歪んだ笑みを浮かべる。 「俺が、したのは、……隊長を助けには行かん、て、……行かんて、言う事だけや……!」
あの場所に、「隊長」はいなかった。 「……何度考えたかて無理や。何度同じ状況に陥っても、俺は同じ判断をする。俺は、何度でも隊長を見捨てるんや……!」
嶋本だけじゃない、誰でも同じ判断をする、なんて陳腐な台詞は、何の意味も持たない。
「……シマ」
噛み締めていた唇が緩んで、短く息が吸い込まれた。
「……ずる、……っい、やんか……っ!「それでいい」なんて……!そんなん言うて欲しいのと違う……!」 頬を伝った涙が、ぱたぱたと音を立てて通路に落ちた。 「でないと俺、何時まで経っても助けにいけんやんか……!」
助けに行きたかった。
嶋本の全身がそう叫んでいる。 「……悔しい……っ!俺には、でけんかっ、たのに……!」
結局隊長は助かった。 「……畜生……!」
泣いて泣いて またいつか泣き止んだら どうやったって毎日は過ぎるし 悔しさ少ないほうがいい
しばらく嗚咽を漏らしていた嶋本が、ふと身を引いて高嶺から離れた。
「……すまん」
嶋本が身を強張らせたのが判った。
「高校の時の同級生が今、こっちに沖縄郷土料理の店を出しているんです」
虚を突かれた顔で、嶋本は高嶺を見た。
「へちまて本当に食えんのか」
そうしなさい、と高嶺は柔らかく笑った。
これはおせっかいか 恋の告白なのか? |
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(B'z「泣いて泣いて泣きやんだら」)
SugakoSatoh@√310
2006/04/22改訂