嘘つきなお前 嘘つきなあなた1
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足音で判るんだ。 ***
ここ暫く仮眠時間が終わる5分前になると、仮眠室の扉を隔てた向こうの通路を、一人分の足音が進む。 「隊長」
起こす為の呼びかけにしては小さすぎるお前の声は、一定の間を置いて繰り返される。 「隊長」
寝ていると判断してゆっくりと静かに閉じられる扉に、通路の照明が遮られて、部屋の中は再び薄暗く静まる。 「……まだ起きんでください」
囁く気配は鼻先で聞こえる。 「隊長」
次の呼びかけは、扉の傍で、強く。 「隊長、起きて下さい。も、交替ですよ」
俺はそこで目を開ける。 「おはよう、嶋本」 そうするとお前は薄暗がりの中でも判るほどに安堵の表情を浮かべて、 「おはようございます、隊長」 と言うんだ。 ***
はじめは起こしに来たお前を驚かせてやろうと思っただけだった。
お前の指が俺の指に逡巡しながら遠慮深げに重なった。
そう思い始めてから今日まで、俺も嘘をつき続けている。
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SugakoSatoh@√310