「玉響遊戯」
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調子狂うで、ほんま ***
「すまない」 黙りこんでしまったから、と加えられて、シマは笑った。
「あんた、ほんま調子狂うわ」 シマがそう言うと、甚は怪訝に眉を片方上げた。 ――きっと癖なんやろうなぁ。
基本的に無表情だが、何か感情が変化すると、まず眉が動くらしい。 ――気付いてへんねやろうなぁ。
客の表情や仕草を観察してしまうのはすでにシマの職業病みたいなものだ。
「あんたは客で、俺は女郎や。あんたは金払ろて俺を買うた。俺は金貰ろて、あんたと寝る。あんたは俺に何でもしてええんですよ。まあ殴られたり締められたりすんのはあんまり好きやないから蹴り飛ばすけど」 そっと寄せられた指先が、優しくシマの頬を撫でた。
「綺麗だ」
そろそろと触れ合わされた唇に、酒の味。
「……そうや」
シマの左手を取って、掌に口付けると、人差し指で「甚」と書いた。
「字、判らへんねん」
その「そうか」に、嘲りも同情も含まれていない事にひどく安心した。 「さなだ、さん」
甘い声は呼び水となって、甚はシマに深く沈んだ。 ***
だから、あなた。 |
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SugakoSatoh@√310