沈む身体2
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「座ろう」
示されたベンチに腰をかけた。 ――そんでふらふら近づいたらじゅっ、となるわけや。 そんな事をアルコールに浸りきった頭で考えた。
「酔い冷まし、なんか買ってきますか」
嶋本の隣に座った真田は、膝の上で指を組んで身を屈めた。
「嶋本」
真田から改めて「報告」される。
「後日正式に辞令があると思うが……」
嶋本が真田の言葉を遮るのは珍しい。
「……あの、俺、ほんと、誇らしいんです」 必死で話題を探して紡いだ言葉に、笑う気配がした。
「大袈裟だ」
酔っているな。 ――でも今言わんと、 「副隊長に決めて貰て、バディ組まして貰て、他じゃ絶対出来んこといっぱいさして貰いました。……今だから言いますけど、俺はじめ……」
言いよどんで真田をちらりと見ると、顎をしゃくって続きを促された。
「……はじめ、「神兵」やなんて大仰な冠被ってなんぼのもんやねん、俺が今にそこに行ってやる、待っとけ真田、……て思っ……」
嶋本は両手をぶんぶんと振って、必死で弁解した。 「……隊長はほんま、すごい人や、て思うし……」
自分は何をしているんだろう。 ――酔っとるなあ…… 「……隊長はすごい人や。俺、ほんまは貴方になりたかって」
どんなに追いかけてもその影すら踏ませて貰えない。
この人がどんどん先に進めるように、支えよう。 貴方の傍で、そんな人間になりたい。 「……シマ」 言葉に詰まって俯いた頭を引き寄せられた拍子に、堪えていた涙が落ちた。 「……あかん、目から汗が」
鼻をすすって、出来るだけ明るい声を出したつもりが、自分でも驚くほど震えた細い声しか出なかった。
「……なんつーか、……息子の大学合格祝うおかん、みたいな……ほら、「嬉しいわー」と思う反面、「これで手ー離れてしまうんねや」という、二律背反的な、こう」 ぎゅっと更に引き寄せられたと思うと、真田の声が耳元で低くささやいた。
「……派遣の話が出た時、引き受けようと思った。その一方で、嶋本が「行くな」と言ってくれないだろうか、と 期待した」 身を引こうとしたが、がっちり抑えられて出来なかった。
「本当に「行くな」と言われても、そう出来たかは判らない。でも、嶋本が言ってくれたら、……そうだな。嬉しかったかも知れないな」 二律背反という奴だな、と続けられた。 ――あかん、酔いすぎやこれ……
くらくらするのは、酒の所為だと思いたい。 |
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SugakoSatoh@√310